2014年12月15日 曇り、ときどき雪

気温が下がって何となく体調が優れなかったため、先週末に病院のハシゴをしてきた。いい機会なので定期健診を受けてしまえと考えたのだ。一日かけて婦人科と内科を回った。疲れたけれど、すっきりした。これから年末十二月は定期健診の月としようと思った。体調もすっかり戻って絶好調である。

昨日、近所に遊びに来ていた三歳児が一時迷子となって、警察が出動する騒ぎがあった。迷子になった子の姉と兄は私もよく知っている。昨日は三人でやってきて、この界隈で遊んでいたらしい。三姉弟の自宅はこのあたりからは少し離れているが、ここは小学生が多い地域であるので、よく遊びに来る。しかし、遊びに夢中になる姉と兄は、三歳児の存在をすっかり忘れてしまう(ことが多々ある)。

しばらくして、迷子になった三歳児は少し離れた国道沿いを一人で歩いているところを通りがかりの人によって発見された。どこの子か分からなかったため、発見者が警察に通報し、パトカーが到着した。実は今回が初めてではない。今まで色々とあったし、それについて三姉弟の母親と話をしたこともある。事故にならなくて本当に良かったと思う。警察官は「今回は親御さんと話をするまで帰すことはありません」と言っていた。

夜、布団に入ったがなかなか寝付けない。あのお姉ちゃん、こっぴどく叱られただろうか。おまわりさんに事情を聞かれて涙を流していたけれど、ちゃんと眠ることができているだろうか。警察はどのように処理したのだろう。

そんなことを考えていて、ふと思い出したことがあった。私自身のことだ。親が共働きだったわが家では、私と五歳上の兄が二人で留守番することがよくあった。私の幼少時の記憶はほとんどすべて、両親が家にいないという喪失感でべったり塗り潰されている。寂しい、怖いという感情以外、あまり思い出すことができない。かといって、私の両親が育児放棄していたかというとそうでもなくて、今にして考えてみれば、二人は必死に働いていたのだと思う。そうでない時期もあったかもしれない。それでも、殆どの時期、母は働いていたし、父もそうだった。あの時代、私達のような子供はまったく珍しくなかった。

ある晩、勘が強かった私はふと目覚めて、そこにいるはずの両親がいないことに気付いた。横を見ると兄は寝ている。でも、両親はいない。私はすぐに泣き出した。兄が困った顔をして起きてきて「かあちゃんととうちゃん、どこに行ったのかなあ」なんて言っていたような記憶がある。兄はある意味慣れていたのだと思う。「明日、遠足なんだぞ。早く寝たいのに」と、私が泣き止むように必死になだめていたけれど、なだめられればなだめられるほど、不安が募ってより一層泣いた。

忘れもしない、時計が11時を指した辺りで、玄関のドアを叩く音がした。恐る恐る出ると、近くに住んでいた母方の祖母がそこに立っていた。

「お父さんとお母さんは?」
「いなくなっちゃった」と私は答えた。祖母は怒ったような顔つきで、「お隣のおばちゃんが電話をくれたんだよ。理子ちゃんがずっと泣いてるから来てあげてって」

それからしばらくして、両親は帰宅した。飲みに出ていたのだと思う。祖母は、父に対して気を遣いながらも「こんな時間まで子供を置いて飲みに行くなんて」みたいな事を言い、母に対しては厳しい顔で何かを言い、帰っていった。それから私も兄も、父からこっぴどく叱られたのを覚えている。

今となっては、まったくしょうがない親だよねと笑うことができるけれど、当時はなぜ私が叱られたのか、これだけ悲しい思いをしたのにこの仕打ちはなんだと理解できなかった。兄を困らせ、祖母を困らせ、近所の人を困らせた私が一番悪かったのだろうと、最後は納得したと思う。少なくとも、今はそう記憶している。

繰り返すけれど、今となっては、本当にしょうがない人達だよね、そこまでして飲みたかったのか、バッカじゃないのと思う。つか、家飲みしとけよと思う。二人とも死んだので直接は言えないが、心の中でそう語りかけている。語りかけつつ、二人の気持ちも十分理解できる年齢になった。たまには息抜きをしたかったんだろう。そりゃそうだろう。あの時、両親は今の私よりもずっと若かったのだから。そう考えると、もう会うことも叶わない両親が、ぐっと近くに感じられる。

もうすぐ四十五にもなろうという私が、ほぼ四十年前に起きた小さな事件を、こうやってはっきりと記憶している。泣きながらじっと見つめた時計の形まで覚えている。ゆうべは布団に入って小一時間、いろいろと考えてしまった。昨日のあのちょっとした事件が、泣いていた姉と弟に同じぐらいのインパクトを残したのではと少し心配している。おいしいお菓子を食べて、きれいさっぱり忘れてしまえばいいと思う。反省すべきは、幼い二人ではないのだから。

kararge

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