休校DAY 31

さきほど報道で、滋賀県内の小中高は予定通り学校再開だと知った。正直、びっくりだ。そりゃ学校には行って欲しいんだけど、いやいや、感染拡大はこれからが本番なんじゃないの? と、疑問に思ったからだ。部活もじわじわはじまっていて、子どもたちも長い休校で暇を持て余し、集まりはじめている。大丈夫かな……と、心配性の私は考えてしまう。だだだ、大丈夫なのでしょうか……。

 さて、休校がはじまって31日である。ここにきて、いつも通りに何もかもできないことへのイライラが募り、子どもと衝突するようになってきた(文面まで暗い)。特に、私に性格がそっくりで口調も同じだといわれている次男と、なんだかんだとぶつかるようになった。次男は、とても明るくて素直な、ギラギラ光る太陽のような子だと思うのだが、とにかく性格が激しい。だから、私とよくぶつかる。今日も学校の先生からちょっとしたことで電話が入り、私が、もう中学2年生なんだから、いい加減にしてくれと注意をしていた。するとそれを聞いていた長男が、iPadとヘッドフォンを手に持ち、すっと部屋から出ていった。長男はいつもそうだ。もめ事を嫌う。私と次男が言い争いになると、彼は何も言わずに、その場から離れてしまう。耐えられないのだと思う。つらいのだと思う。こういう瞬間が、私にはとても堪える。去って行く長男の細身の後ろ姿を見ると、可哀想でたまらなくなる。だったら言い争うなということなのだが、そこで自分を止められないのが育児の難しさなのだろうか。

 さて、話題は変わって、同じ日に、同じ版元から発売となった鈴木智彦さんの『ヤクザときどきピアノ』だ。私は2回目を読んでいるところ。熱い筆致に感激する(そしてときおり爆笑)。鈴木さんとは何度かお会いする機会があり(一度はイベントの司会をして頂いたこともある)、今回も発売日が同じ、担当編集者が同じということもあり、勝手に姉妹本ではないかと思っている。読者の方にはセットで買って頂いている様子もあり、ありがたいことだなと思う。

 その鈴木さんが、自著のための補稿(鈴木智彦)というブログを書いていらっしゃって、それがなかなかどうして、本と同じぐらい面白いので読んでしまう。読者のみなさんにとっては、執筆のバックグラウンドが読めることは楽しいことなのかなと想像する(私が読んでいて楽しいので)。いわゆるスピンオフということだろう。

 そこで、鈴木さんを真似して、私も少しずつ書いてみようと思いはじめた。『兄の終い』のことだ。

 インターネット上に感想を書いて頂くことは、著者にとっては本当にうれしいことだ(もちろん怖いことでもある)。だから、ごめんなさいと思いつつもエゴサして、感想を見つけてはゲリラ的にリプライをつけてしまったりする。すいません。そんな読者のみなさんの感想を読んでいて、気づいたことがある。兄側の立場として読んでくれている方が多いのだ。

 『兄の終い』を猛然と書きながら、私が思い続けていたことは、兄と私の間にはなんの差もないということだった。私がこれから兄側に行くことも十分考えられる。私が孤独死する可能性もある。兄と私は同じ両親のもと、同じ環境で育ってきた、いわゆる同じチームのメンバーだ。兄のことは長年見てきたが、転落していくきっかけというものは、些細なことだったと思う。だから、私は常に、私が兄側にいかなかったのは、偶然に過ぎないと思ってきた。そして兄が亡くなったいま、それを確信している。そしてもう一つ確信しているのは、兄が私側だったら、きっと私を助けただろうということだ。「俺はあいつの兄ちゃんだから」と、きっと兄は精一杯の努力をしただろうと思う。そこが私と兄の違いだ。

 母と兄は、ときに間違った優しさを発揮する人たちだった。信じられないような優しさを見せた次の瞬間、頭が真っ白になるような無理難題を突きつける。そんな人たちだった。何度考えても、私があの2人とうまくいくはずはなかった。

 原稿が書き終わり、そうだ、加奈子ちゃんに許可を得るのを忘れていたと、急いで彼女にメッセージを書いた。彼女はすぐに返事をくれた。そこには、「あの人は悪いところもたくさんあったけど、それと同じぐらい、いいところもたくさんある人でした。それをすべて書いてあげて下さい」とあった。なんともいえない気持ちになった。なぜ、兄はその強烈な優しさを、自分自身に向けなかったのだろう。

夕ご飯:薄切りの豚肉、ほうれん草、うどんの鍋。



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