『黄金州の殺人鬼 凶悪犯を追いつめた執念の捜査録』(亜紀書房)の原書『I’ll Be Gone in the Dark: One Woman’s Obsessive Search for the Golden State Killer 』の著者ミシェル・マクナマラは、実の母のエピソードとしてこんなことを書いている。彼女の母親は、人を騙すだとか、騙されるとか、いたずらの標的になったり、仲間はずれになったりするシーンのある映画を観ることができない人だったそうだ。これについて以前書いたときに、それは共感性羞恥ですねとリプライをもらったのだけれど、この感情は「羞恥」なのだろうか。
亜紀書房 – 亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズⅢ-9 黄金州の殺人鬼 凶悪犯を追いつめた執念の捜査録亜紀書房刊行の書籍の紹介。社会問題を扱う書籍からビジネス書、実用書を発行する出版社。www.akishobo.com
ミシェル自身、若かりしころは、母のそんな態度を笑っていたそうだ。しかし、年齢を重ねてその気持ちを理解したという(つまり、ミシェルも同じようになった)。私もミシェルやミシェルの母と同様、誰かが騙されたり、いじめらたり、ひどい扱いを受ける場面を見るのが苦手だ。それが映画であっても(フィクションであっても)。そんなシーンが出てくると、再生を止めるか、家族が見ている場合は、その部屋を出る。特に子どもと動物は……やめてくれ……。
これが理由だと思うのだけれど、TikTokが苦手だ。よく息子に、これ面白いから見てと言われて見せられる。面白いかというと、まあ、面白いものもあるのだけれど、アプリがオススメしてくるTikTok動画の多くは、いたたまれなくて見ていられない。汚れた部屋で耳を垂れた犬を「Did you do this?!」と詰める動画。無理。小さな子どもの前にチョコレートを置いて(その様子を撮影するためのスマフォも置いて)、「絶対に食べちゃだめよ」と言い、部屋を出る。子どもは必死に耐える。少しして部屋に戻り、よくできたわね、本当にいい子と褒める。これが苦手な理由をうまく説明できない。
今日は午後になって、次男がマンガを読みたいからiPadにダウンロードしてもいいかと聞いてきたので、いくらでもしていいぞ! と言って、数冊ダウンロードしてあげた。黙ってダウンロードしておけばいいのに、ついつい、「勉強もしなさいよ」と言いそうになり、ぎりぎりのところで踏みとどまった。気持ちのよい風が入る窓の下で、なぜか学校で着用するジャージ姿で次男はマンガを読んでいた。長男は筋トレをしていた。
夕飯:鮎
