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是非。夏に古い曲っていいですよね。昭和50~60年代を経験したひとは、少なからず聖子ちゃんに影響を受けているはずなのだ。私も、当時は好きという感覚がなかった。お姉さんという感じだった。でも、わが家の昭和を回想するとき、そこに聖子ちゃんの曲は必ず流れている。
そして今朝。アグレッシブになっている義母から怒りの電話。私に対してではなく、彼女の頭のなかで発生している事象についての苦情のようなもの。ここ一週間ぐらい、知らない人たちが家に入り、悪いことをしているという妄想に取り憑かれている義母は、その原因は義父にあると考え(こじつけ)、徹底的な義父への攻撃をやめない。思い立ったらネバーストップの精神は今も薄れる気配すらない。
それは勘違いですよと言いつつ、虚しい。この電話も忘れてしまうのに……それでもなんとか説得を試みる。
まるでこの状況が辛いかのように、今、私、書いてますけども、義母の組み立てるストーリーの過激さに思わず感嘆してしまう。やるね。さすがだねと、わくわくする(正直な話)。
義母のストーリーが過激で、義父が急いで電話を替わったが、涙声になっている。心配しなくていいですよ、今からCoCo壱番屋行くついでに寄りますわと言って、電話を切って、現場に急行だ。今の状況だと、何が起きるかまじでわからないからね!!
夫実家に到着すると義母が縁側で正座して待っていた。窓が開け放たれている。よく見ると、家中の窓が開け放たれている。どうしたんですか、お父さんはどこですかと聞くと、「お父さんはふてくされています」という答え。寝室の中を覗くと、昨日と同じ長袖のパジャマを着た義父がベッドに横たわり、天井の一点をじっと見つめていた。真っ白くなった髪、落ちくぼんだ目。窓は開けられ、クーラーのスイッチは切られていた。即身仏みがマックスまできている。
義母の表情が険しい。大変大きなスイッチがONの状態だ。素早くお薬カレンダーをチェックする。昨日の夜から飲めていない。ああ、薬なしだとこのような感じなのかと思いつつ、主治医に申し送りしようとメモする。真っ赤な顔で眉間にしわを寄せながら、義父が戸締まりをしないために、風呂場に男が入って来たと訴える義母の話を聞く。聞きながら、介護認定が終了したらサービスをもっと増やしてもらおう、限度ギリギリまで狙おうと考える。義母が勘違いした経緯は理解したので、ケアマネさんと話合って対処するしかない。
義父は起き上がってきたものの覇気がなく、このままではまずい。
帰り道で、私が密かに狙っていた中古物件がすでに誰かの手に渡ったことに気づく。琵琶湖が一望できる小さな木造の家だった。はめ殺しの窓から見えるのは琵琶湖の水面「だけ」というほどに、琵琶湖真ん前の場所だった。マリンスポーツ好きの若い夫婦が住みはじめたようだ。窓の前にテーブルを置き、楽しそうに何かを飲んでいた。「この家にはあなたたちのほうが似合うわ」とつぶやき、心の岸辺に赤いスイトピーを咲かせた私は、背中を丸めて家に戻ったのでした。